2014年10月6日

検査値のここに注目!
-組織ミネラル濃度測定の試み-


多くのミネラルは組織や脂肪、血管壁に存在していて血液中の濃度と体内(組織)中の濃度は一致しません。


有害ミネラルは、本来は必須のミネラルが結合する場所に結合して働きを邪魔します。そこで組織内のミネラルの量やミネラル相互のバランスを調べるために開発された方法がいくつかあります。
 
ひめのともみクリニックでは、オリゴスキャンを利用した組織ミネラル測定が可能になりました(要予約)。ご興味のある方はこの機会にお問い合わせください。

 

初歩から学ぶ体の仕組み
-カルシウムとシグナル伝達-


細胞は外からきた指令をどのようにして細胞の中に伝えているのでしょうか? その仕組みの一つがカルシウムの流入です。

カルシウムイオンの細胞内:細胞外濃度は約110000に厳密に保たれています。この濃度を維持するために細胞はせっせと細胞内のカルシウムを外(一部は細胞内小器官)に汲み出しています。ある指令が来るとカルシウムチャネルが開いてカルシウムが流入します。カルシウムの濃度が変化すると、たんぱく質にカルシウムがくっついたり離れたりします。その結果、筋肉の収縮、神経の興奮、ホルモンなどの分泌が起きます。役目を終えるとカルシウムは汲み出され瞬時に濃度がもとにもどります。

糖尿病でインスリンの分泌反応が遅くなっているパターンの方がいます。インスリンの分泌量は十分なのに反応が遅いため食後に大きく血糖値が上昇し45時間後には低血糖になっていることもあります。この場合(もちろん他の原因もありますが)カルシウム不足がおおいに関係しています(下図)。インスリンの分泌にもカルシウムの信号が必要だからです。



引退を考えているスポーツ選手も、ぜひ一度はカルシウム不足を疑いましょう。筋力は衰えていないのに反射が鈍くなったと感じたらカルシウム(とマグネシウム)不足かもしれませんよ。

 

きみとぼくは兄弟
-ブラザーイオン-


兄弟(姉妹)は似たところもあれば違うところもあり、仲が良いかと思えば張り合ったりして独特の関係ですね。栄養素の世界にも兄弟のようなペアがあります。例えば、カルシウムとマグネシウム、ナトリウムとカリウム、亜鉛と銅などです。

今回はカルシウムとマグネシウムを取り上げます。カルシウムもマグネシウムも水溶液中ではイオンの形で存在しています。この二種類のイオンには大きな特徴があって、細胞内と細胞外では濃度が全く違うのです。


どうです? 全く反対でしょう? お互いがお互いを牽制・調節しあって均衡を保っています。実際にカルシウムが通るチャネルにはマグネシウムが存在していて、カルシウムの通り方を見張っています。

次の章で説明するように、カルシウムの濃度変化は細胞に信号を伝えるために使われており細胞内外の濃度を厳密に保つことは大変重要です。血液中の濃度が下がるとカルシウムは骨から、マグネシウムは骨や筋肉から動員されてすぐに理想的な濃度にもどります。でも、カルシウムやマグネシウムの排泄が増えるような状況が続くと濃度の低下が続き調節に乱れが生じます。血糖値の上昇やストレスはこれらのミネラルの尿中排泄を増やす大きな要因です。


カルシウムの欠乏は血液検査や骨の強度などで測りやすいためこれまでも強調されてきましたが、ここで忘れていけないのはマグネシウムです。乳製品の消費の伸びに比べ魚介類、小魚、海藻類やにがりによるマグネシウム摂取は減っています。日本のCaMg摂取比率は1978年には約1.0でしたが、2004年には2.1になってしまいました。

マグネシウム不足は、不整脈や狭心症・心筋梗塞、脳の血管攣縮、こむらがえりや神経症状、ミトコンドリアの機能低下など様々な症状に関係しています。

やはり兄弟は平等に扱うことが大切ですね。