2013年3月11日

ビタミンKの働き再発見!
-ビタミンKは何をしているの?-


ビタミンKは血液凝固に必要な因子として1929年にデンマークのH.Damによって発見された脂溶性ビタミンの一つです。新生児の頭蓋内出血を防ぐために生まれて24時間以内と5-6日目、1ヶ月検診の際にビタミンK2シロップを服用することが推奨されています。

ワーファリンという薬を飲んでいる方は納豆などビタミンKを含む食品を避けましょうと指導されることがあります。ワーファリンはビタミンKの働きをブロックし肝臓で血液凝固因子が作られるのを抑えることで血液を固まりにくくしている薬です。
 
 

ビタミンKの働きはたんぱく質の中の特定のグルタミン酸をγカルボキシグルタミン酸に変えて機能を持った成熟たんぱく質を作ることです。ビタミンKの作用を受けるたんぱく質には血液の凝固に関係する物質のほかに凝固を抑制する因子(プロテインCやプロテインSど)、骨粗鬆症の予防に関わるオステオカルシン、血管や神経、心臓弁などに存在し動脈の石灰化を防止するマトリックスGla蛋白質などがあることが分かってきました。つまりビタミンKは凝固系だけでなく骨や血管、神経などにも影響する大切なビタミンなのです。骨粗鬆症の時に検査をする未成熟オステオカルシン(UCOC)はビタミンK不足によってγカルボキシグルタミン酸に変わらなかったオステオカルシンのことでビタミンK欠乏の推定や効果判定に使用されています。肝臓の腫瘍マーカーとして知られるPIVKA-IIも変換されなかった凝固因子です。
 
 

最新の研究ではビタミンKに脳内の酸化を予防したり遺伝子に働きかけて癌を抑制したりするなど新しい可能性が示唆されています。古く発見されたビタミンにも新しい光が当たっているようです。

次回はビタミンKの種類やビタミンKを含む食品などについてもう少し見てみましょう。